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社用車の盗難被害を防ぐには?

こんにちは、コジマです。

車を所有する企業にとって、社用車の盗難は決して他人事ではありません。 社用車が盗まれると、車両そのものの損失だけでなく、業務の停止や顧客情報・機密情報の流出、ETCカードや業務用機器の盗難など、さまざまな二次被害につながる可能性があります。

さらに近年では、スマートキーの電波を悪用する「リレーアタック」や、車両の通信システムに侵入する「CANインベーダー」など、盗難の手口も巧妙化しています。

警察庁によると、2025年(令和7年)の自動車盗の認知件数は6,386件で、前年の6,080件から5.0%増加しました。 企業としても「鍵を掛けるだけ」ではなく、複数の防犯対策を組み合わせることが重要です。

そこで今回は、社用車が盗難に遭うことで企業が負うリスク、代表的な盗難手口、企業が実施すべき盗難防止策について詳しく解説します。 盗難された社用車が事故を起こした場合の企業責任や、万が一盗難に遭った際の対応、自動車保険による補償についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事のポイント

社用車の盗難対策では、「施錠」「鍵の管理」「物理的な盗難防止装置」「駐車場対策」「位置情報管理」などを組み合わせることが重要です。 特に複数台の社用車を保有している企業では、車両ごとの対策だけでなく、鍵や利用者を含めた管理体制そのものを整備する必要があります。

1. 社用車盗難に注意!盗難により企業が負うリスク

社用車が盗難に遭った場合、企業には車両価格だけではないさまざまな損失が発生する可能性があります。

例えば、営業車や配送車が盗まれれば、代替車両を確保するまで業務ができなくなったり、顧客訪問や配送に遅延が発生したりすることも考えられます。

また、社用車には次のような物品や情報が積まれていることがあります。

  • 業務用パソコン・タブレット・スマートフォン
  • 顧客資料・契約書などの書類
  • ETCカード・給油カード
  • 工具・測定器・商品などの業務用物品
  • 社員証・入館証など

これらが車両と一緒に盗まれれば、車両盗難だけでなく、情報漏洩や不正利用などの二次被害につながる可能性があります。

そのため企業の盗難対策では、「車を盗まれないこと」だけではなく、車内に重要情報や貴重品を残さない運用も重要です。

1-1. 社用車が狙われる理由

「社用車だから一般の自家用車より必ず盗まれやすい」という公的な統計は確認できません。 ただし、企業では複数台の車両や鍵をまとめて管理することが多いため、管理方法によっては盗難につながる隙が生まれる可能性があります。

例えば、スマートキーやスペアキーを誰でも取り出せる場所に保管していたり、退職者や異動した従業員が鍵を返却していなかったりするケースです。

また、社用車として人気のSUVやミニバンなど、盗難被害の多い車種を使用している企業では特に注意が必要です。

企業では、車両そのものの防犯だけでなく、「誰が・いつ・どの車両と鍵を使用したのか」まで把握できる管理体制を整えておくことが重要でしょう。

2. 車両盗難の手口とは?

自動車盗難には、昔から行われている物理的な侵入方法だけでなく、車の電子システムを悪用する方法もあります。

代表的な手口を確認しておきましょう。

2-1. 鍵の破壊・不正解錠

工具などを使ってドアを不正に解錠したり、窓ガラスを割って車内に侵入したりする方法です。

また、スペアキーを車両の近くに隠している場合、そのキーを発見されて盗難につながるケースもあります。

警察庁も、窓の隙間から工具を使って解錠する方法や、ガラスを破壊して侵入する方法、レッカー車などで車両そのものを持ち去る方法など、複数の盗難手口について注意を呼び掛けています。

2-2. リレーアタック

スマートキーを搭載した車で注意したい手口の一つが「リレーアタック」です。

スマートキーは、キーから発信される微弱な電波を車両側が受信し、登録されたキーであることを確認することでドアの解錠やエンジン始動を行います。

リレーアタックでは、この電波を特殊な機器で受信・増幅し、離れた場所にある車まで中継します。

すると実際にはスマートキーが車の近くになくても、車両側が「正しいキーが近くにある」と認識してしまい、ドアを解錠されたりエンジンを始動されたりする可能性があります。

そのためスマートキーは、事務所の入口付近や駐車場に近い場所へ無防備に保管しないことが重要です。

2-3. CANインベーダー

近年特に注意したいのが「CANインベーダー」と呼ばれる盗難手口です。

CANとは、自動車内部のさまざまな電子制御装置が情報をやり取りするための通信ネットワークです。

CANインベーダーでは、特殊な機器を車両内部の通信配線などへ接続し、車両システムへ不正にアクセスすることで、ドアロックを解除したりエンジンを始動したりします。

リレーアタックとは異なり、スマートキーから発せられる電波そのものを利用する手口ではありません。 そのため、スマートキーを電波遮断ケースに入れるだけでは十分な対策にならない場合があります。

ハンドルロックやタイヤロックなどの物理的な装置も組み合わせ、複数の対策を行うことが重要です。

2-4. イモビライザーなどのセキュリティを突破する手口

イモビライザーとは、車両側に登録された電子IDとキー側のIDが一致しなければエンジンが始動しない盗難防止システムです。

ただし、盗難手口も高度化しており、イモビライザーを搭載しているからといって盗難を完全に防げるわけではありません。

メーカーによっては盗難対策用のソフトウェア更新や追加セキュリティを提供している場合もあるため、盗難被害の多い車種を保有している企業は、販売店などへ最新の対策を確認しておくとよいでしょう。

3. 社用車盗難を防ぐために企業がとるべき対策

車両盗難を100%防ぐ方法はありません。 しかし、複数の対策を組み合わせることで、盗難される可能性を下げることはできます。

警察庁でも、確実な施錠だけでなく、ハンドルロックやホイールロック、警報装置、GPS追跡装置、防犯カメラ、センサーライトなどを複合的に利用することを推奨しています。

3-1. 車から離れる時は必ずドアロックをする

基本的なことですが、車両から離れる際は、短時間でも必ず窓を閉めてドアをロックしましょう。

配送や営業などでは、「数分だけだから」とエンジンをかけたまま車を離れてしまうケースも考えられます。 しかし、短時間であっても無施錠の車両は盗難リスクが高まります。

企業としては従業員任せにするのではなく、「車両から離れる場合は必ず施錠する」ことを社用車管理規程などでルール化することも大切です。

3-2. 車の中に貴重品を放置しない

パソコンやバッグ、財布、カードなどの貴重品を車内に置いたままにしないようにしましょう。

特に企業では、金銭的な価値のある物だけでなく、顧客情報・個人情報・機密情報などが入った書類や端末にも注意が必要です。

警察も、車内に現金・カード類・バッグなどを放置しないよう呼び掛けています。

注意

「外から見えない場所に隠せば安全」というわけではありません。 業務用パソコンや個人情報を含む書類などは、原則として車内へ放置しない運用にすることが重要です。

3-3. 盗難対策装置を付ける

車両そのものに盗難防止装置を取り付けることも有効な対策です。

例えば、次のような装置があります。

  • ハンドルロック
  • タイヤ・ホイールロック
  • 警報装置
  • イモビライザー
  • GPSなどの位置情報端末
  • メーカーが提供する追加セキュリティ

電子的なセキュリティだけでなく、外から見ても分かるハンドルロックやタイヤロックなどの物理的な対策を組み合わせることがポイントです。

GPSなどの位置情報機能は盗難そのものを防止するものではありませんが、盗難発生後の車両位置の確認に役立つ可能性があります。

3-4. リレーアタック対策を行う

スマートキーを利用している場合は、キーから発せられる電波への対策も検討しましょう。

警視庁では、スマートキーを電波遮断機能のあるケースに入れる方法や、金属製の容器などで電波を遮断する方法を紹介しています。

車種によってはスマートキーに「節電モード」など、電波の送受信を一時停止する機能が備わっている場合もあります。

企業では、スマートキーを入口付近にまとめて保管するのではなく、施錠できる保管庫を利用するなど、鍵そのものの管理方法を見直すことも重要です。

3-5. 駐車場の防犯対策を強化する

社用車を保管する駐車場にも対策が必要です。

警察庁は、自動車盗難対策として、防犯カメラ、センサーライト、車止めポールなどの設置を推奨しています。

企業の駐車場では、次のような設備を組み合わせるとよいでしょう。

  • 防犯カメラ
  • センサーライト
  • チェーンゲート・シャッター
  • 車止めポール
  • 入退場管理システム

月極駐車場などを利用する場合も、人目が少なく暗い場所より、照明や防犯カメラなどの設備が整った管理された駐車場を選ぶことが望ましいでしょう。

4. 盗難された車が事故を起こした!企業に責任はある?

社用車が盗難され、その車を犯人が運転中に交通事故を起こした場合、「車の所有者である会社にも責任があるのでは?」と不安になる担当者もいるでしょう。

しかし、盗難された社用車で事故が起きたからといって、企業が必ず損害賠償責任を負うわけではありません。

企業側が事故について責任を負うかどうかは、車両の管理状況や盗難に至った経緯、企業がその車両の運行をどの程度支配していたかなど、個別の事情によって判断されます。

4-1. 運行供用者責任が問題になる可能性がある

自動車損害賠償保障法第3条では、「自己のために自動車を運行の用に供する者」が、その運行によって他人の生命・身体に損害を与えた場合の損害賠償責任について定めています。

この責任は一般に「運行供用者責任」と呼ばれます。

企業が所有・管理する通常の社用車であれば、業務中の事故について企業が運行供用者に当たるケースがあります。

一方、車両が第三者によって盗まれた場合には、企業が車両に対する運行支配や運行利益を失っていたかどうかなどが重要になります。

そのため、「盗難車の事故なら所有企業は必ず責任を負わない」「管理に少しでも不備があれば必ず責任を負う」と一律に判断できるものではありません。

企業が行っておきたいこと

鍵の管理方法や保管場所、車両利用ルールを明文化し、盗難発生時には速やかに警察へ届け出るなど、日頃から適切な管理を行っていたことを確認できる体制を整えておくことが重要です。

4-2. 盗難と従業員による不正使用では事情が異なる

第三者による盗難と、従業員が権限を逸脱して社用車を持ち出したケースでは、法的な評価が異なる可能性があります。

従業員がもともと社用車を利用できる立場にあった場合には、その従業員との関係や車両の管理状況、使用を許可していた範囲なども考慮されます。

また、犯罪として「窃盗」「横領」などのどの罪に当たるかについても、車両の占有関係など個別の事情によって判断されるため、一律に「従業員なら横領」と判断することはできません。

自動車保険についても、従業員・役員・関係者による不正取得などについては通常の第三者による盗難とは補償条件が異なる場合があります。 契約している保険会社や代理店へ確認しましょう。

5. 万が一盗難に遭った場合の対処法

どれだけ対策をしていても、盗難リスクを完全になくすことはできません。

社用車の盗難に気付いた場合は、できるだけ早く警察や保険会社へ連絡し、必要な手続きを進めましょう。

5-1. 警察に届出を行う

車が盗まれたことが分かったら、まず警察へ連絡し、盗難の届出を行います。

警察への届出では、登録番号(ナンバープレート)、車名、車体番号、車両の色、盗難に気付いた日時・場所、車内に積んでいた物などを確認される場合があります。

車検証や自動車検査証記録事項などの情報を社内で控えておけば、車両そのものと書類が同時に盗まれた場合でも確認しやすくなります。

また、盗難届の受理番号は、保険会社や各種手続きで必要になる場合があるため、必ず控えておきましょう。

5-2. 必要に応じて一時抹消登録を検討する

盗難された車両が長期間発見されない場合などは、一時抹消登録を検討することがあります。

国土交通省によると、車検証やナンバープレートが盗難によって返納できない場合でも、所定の理由書などを提出することで一時抹消登録の手続きを行える場合があります。

ただし、一時抹消登録がすべての盗難ケースで必ず必要というわけではありません。 保険金請求や車両発見時の再登録などにも関係する可能性があるため、手続きを行う前に保険会社や運輸支局へ確認しましょう。

注意

普通自動車と軽自動車では手続きや税金の取扱いが異なります。 「盗難されたら必ず一時抹消すればよい」と判断せず、管轄の運輸支局・軽自動車検査協会・自治体などへ確認してください。

5-3. 保険会社へ連絡する

警察への届出とあわせて、加入している自動車保険の保険会社や代理店へ連絡しましょう。

保険会社からは、盗難時の状況や警察への届出内容、車両情報などについて確認を求められることがあります。

車両保険に加入していれば盗難が補償対象となる場合がありますが、契約条件や特約、免責事項によって補償内容は異なります。

保険金が支払われる時期についても調査内容や契約条件によって異なるため、「盗難から○日で必ず支払われる」と一律にはいえません。

6. 盗難は自動車保険で補償される?

社用車の盗難は、車両保険に加入していれば補償対象となることがあります。

例えば損保ジャパンの車両保険では、「一般条件」と補償範囲を限定した「車対車・限定危険」のいずれでも盗難が補償対象とされています。

ただし、これはすべての保険会社・すべての契約について盗難が必ず補償されるという意味ではありません。

契約によっては盗難を対象外とする特約が付いている場合や、車種・用途・契約条件によって取扱いが異なる場合があります。

また、盗難車が発見された場合や車両の一部のみが損傷した場合、車内の荷物が盗まれた場合などは、それぞれ補償の考え方が異なることがあります。

特に社用車では、車両本体だけでなく、

  • 業務用パソコン
  • 工具・機材
  • 商品
  • 携行品

などを積載しているケースがあります。 これらが車両保険だけで補償されるとは限らないため、必要に応じて動産保険なども含め、企業全体の保険内容を確認しておくと安心です。

7. 盗難など社用車のリスク管理には車両管理システムの活用もおすすめ

社用車を安全に運用するためには、盗難対策だけでなく、誰がどの車を利用しているか、車両がどこにあるかなどを適切に管理することも重要です。

しかし、保有台数が増えるほど、Excelや紙の台帳だけですべての車両を管理することは難しくなります。

そこで活用できるのが車両管理システムです。

サービスによって機能は異なりますが、例えば次のような機能があります。

  • 車両情報の一元管理
  • 運転者・利用履歴の管理
  • GPSによる車両位置の確認
  • 運転日報の作成
  • 事故・トラブル情報の管理
  • 車検・点検時期の管理
  • アルコールチェックとの連携
  • 車両コストの集計・分析

特にGPSによる位置情報管理機能を備えたシステムであれば、車両が通常と異なる場所へ移動していることを把握できる可能性もあります。

ただし、車両管理システムを導入しただけで盗難そのものを防げるわけではありません。

施錠・鍵管理・盗難防止装置・駐車場対策・位置情報管理などを組み合わせ、企業全体で社用車のリスク管理を行うことが重要です。

まとめ

今回は、社用車の盗難によって企業に生じるリスクや代表的な盗難手口、企業が行うべき防犯対策について解説しました。

現在の自動車盗難では、従来の不正解錠だけでなく、リレーアタックやCANインベーダーなど、電子システムを悪用した手口にも注意が必要です。

そのため企業では、一つの防犯方法だけに頼るのではなく、 確実な施錠、スマートキーの適切な管理、ハンドルロック・タイヤロックなどの物理的対策、防犯カメラやセンサーライトなどの駐車場対策を組み合わせることが重要です。

また、盗難が発生した際に迅速に対応できるよう、車両情報や保険契約、鍵の管理状況などを日頃から整理しておきましょう。

社用車の台数が多く、管理業務が複雑になっている企業では、車両管理システムを活用し、車両・運転者・利用状況を一元管理することも有効です。

社用車管理の効率化を検討してみませんか?

車両情報・運転者・運転日報・事故情報などをまとめて管理することで、管理担当者の負担軽減と社用車のリスク管理につながります。

自社に合った車両管理方法について、ぜひ一度ご検討ください。

参考・出典

・警察庁「自動車盗難等の発生状況等について」(令和8年2月)
・警察庁「自動車・二輪車盗難対策」(2026年確認)
・警視庁「『自動車盗』の防犯対策」(2024年9月12日更新)
・e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」
・国土交通省 自動車保有関係手続のワンストップサービス「一時抹消登録」
・損害保険ジャパン「車両保険」(2026年10月確認)

※本記事は2026年10月3日時点で確認できる情報をもとに作成しています。法令・保険商品・補償内容・行政手続き等は変更される場合があります。実際の対応については、警察、運輸支局、保険会社、専門家などへご確認ください。