日本版ライドシェアの期待と今後の課題は?
都市部や人気観光地で慢性化しているタクシー不足を補う手段として、ライドシェアがあります。そこで今回は日本でのライドシェアとはどのようなサービスか、またライドシェアのメリット・デメリットなどをお話したいと思います。
ライドシェアとは
一般ドライバーによる自家用車の相乗りサービスのことで、出発地や目的地が同じ人たちが相乗りし、有償で客を指定の場所まで送迎するサービスです。CO2削減の観点からもシェアリングエコノミーの一例として注目を集めています。
ライドシェアと似たものに「カーシェア」がありますが、主な違いはサービス内容と使用する車両です。
| ライドシェア | カーシェア | |
|---|---|---|
| サービス | ドライバーと相乗り希望者のマッチング | ドライバーと貸出できる車をマッチング |
| 使用車両 | ドライバーの自家用車 | 事業者が提供する車 |
国によるライドシェア推進の背景には、運転手の減少があります。全国ハイヤー・タクシー連合会によると、個人タクシーを除くドライバー数は2023年3月末時点で約23万人となり、コロナ禍前の2019年から2割減となりました。
インバウンドの回復により都市部や観光地でタクシー不足が顕著になり、これを機に解禁に向けた議論が活発化。4月から限定的に解禁されることとなりました。
日本版ライドシェアの特徴
限定解禁された「日本版ライドシェア」は、海外の形態とは異なり、タクシー会社が運営主体となる点が特徴です。地域の自家用車や一般ドライバーを活用し、不足しているタクシー台数を補う仕組みです。
- タクシー会社が運営主体
- 一般ドライバーは過去2年間無事故・免停なしが条件
- 二種免許は不要
- 副業としての参加が可能
- 自家用車または営業車を使用
利用方法は原則として配車アプリを利用します。乗車前に運賃が確定し、支払いはキャッシュレス決済のみ。流し営業は行われません。
ライドシェアのメリットとデメリット
<メリット>
~提供者側~
- 保有車両を活用して自由な時間に働ける
- タクシー業界の人材不足を補える
- CO2排出量削減が期待できる
~利用者側~
- 交通手段の選択肢が増える
- 比較的安価に利用できる可能性
- ドライバー評価制度がある
<デメリット>
~提供者側~
- 既存公共交通への影響
- 収益の不安定さ
- 事故・トラブル時の責任問題
~利用者側~
- トラブル発生の可能性
- 需給により料金が変動する
日本でのライドシェアの将来
2024年3月29日、国土交通省は先行地域に続き、札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、大阪市域、神戸市域、広島市、福岡市などを追加公表しました。5月からタクシー会社によるライドシェアが可能になります。
さらに、自治体が主体となる「自治体ライドシェア」への拡大も進んでいます。過疎地域などで地域住民の移動手段を確保するため、有償運送規程の緩和が行われました。
地域交通の維持や観光振興など、新たな可能性が期待されていますが、運行区域や運営体制など今後の整備が課題となります。
最後に
世界のライドシェアリング市場は2021年から2028年にかけて年平均成長率16.3%で拡大すると予測されています。移動コスト削減や環境配慮といった利点がある一方、日本での全面解禁には安全管理やトラブル対応など慎重な議論が必要です。
新しい移動手段としての可能性を活かしながら、安心して利用できる制度設計が求められています。