踏切事故の発生状況
踏切事故の件数は、1960年代の5,000件超から200件台となり長期的には減少しています。しかし、2021年に200件を切ったものの2023年は258件発生しており、近年は200件前後で推移しています。
踏切事故の原因のほとんどは 直前横断 と言われています。列車が接近している状態で急いで踏切を渡る、さらに遮断機が下りているにもかかわらず踏切へ侵入するといった無理な横断をして事故に遭うケースが半数近くを占めています。 その他には渋滞やエンストで車両が取り残される立ち往生、車両故障・トラブル、車の操作ミスによる停滞が挙げられます。
また、警報機や遮断機のない第4種踏切や「開かずの踏切」といった踏切の構造的問題も事故の原因として指摘されています。対策として踏切道の立体交差化や保安設備の整備が進められています。
守ろう!踏切横断時のルール
踏切事故の事例の中には横断者が守るべきルールを守らなかった状況も見受けられます。踏切の横断ルールは道路交通法でも定められており、全ての踏切で守る必要があります。今一度ルールを確認し、安全な踏切横断を行いましょう。
1:踏切の直前では停止
歩行者、自動車、二輪車問わず、踏切の直前では一時停止する必要があります。周囲の安全を目と耳で確認して、列車が接近していないことを確かめてから横断しましょう。(道路交通法 第33条第1項)
2:警報機や遮断機が作動したら、絶対に進入しない
踏切に設置されている警報機や遮断機は、列車が踏切に到達する数秒前から作動します。遮断機が降り切ったら列車は直後に通過するため、決して踏切内に侵入してはいけません。(道路交通法 第33条第2項)
3:踏切内でとどまらない
横断中は踏切内でとどまることなく、安全に横断する必要があります。前方に十分なスペースが確保されるまでは車を発進させず待機してください。 万が一踏切内で脱輪やエンジン停止などのトラブルが発生して車が停留してしまった場合は、列車に危険を知らせる・車を押して踏切外へ移動させるなどの措置が必要です。(道路交通法 第33条第3項、第50条第2項)
もし踏切でトラブルに遭ったら
万が一、踏切内で閉じ込められた場合の対応をご紹介します。
車が動かせる場合
- 慌てずそのまま車を進め、遮断桿を押し上げて脱出します。ゆっくり車を進めれば遮断桿が折れる心配は少ないです。
- 遮断桿が折れた場合でもまずは踏切外への脱出を最優先にしてください。脱出後、警報機に記載されている連絡先へ電話して事情を伝えます。
車が動かせない場合
- エンストや脱輪で車が動かせない場合は車から降り、まず踏切の外へ脱出してください。
- 非常停止ボタンがあれば押して列車の運転士に異常を知らせます。非常ボタンがない場合は、車に備え付けの発煙筒で危険を知らせます。
- 踏切で人が取り残されているのを発見した場合も、まず非常停止ボタンを押し、大声で呼びかけるなどして対応してください。線路内に無理に入って救助しようとするのは危険です — 自身の安全を最優先に行動してください。
最後に
踏切事故が発生すると、事故処理に伴う長時間の運転見合わせなどで鉄道利用者にも大きな影響が及びます。場合によっては鉄道会社から損害請求を受けることもあります。また、踏切事故は列車脱線などの大事故を引き起こす可能性もあります。
踏切事故を防ぐには、踏切手前での一旦停止や安全確認など、基本的なルール・マナーの遵守が重要です。一人一人が意識することはもちろん、企業で安全運転管理をされている方は従業員への教育・周知も忘れずに行ってくださいね。